俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
それを深澄さんが意図しているかどうかは不明だが、私たちが整備した機体を大切に扱ってくれているようで、ついうれしくなるのだ。
「姫、メシが来たぞ」
「わーい、美味しそう」
やがて、私たちのテーブルに、パスタやピザが運ばれてくる。
大皿から直に食べようとする石狩さんを信濃さんが「ステイ」と制し、その間に私と最上さんで平等に料理を取り分けた。
「石狩、食べてよし」
「ワン!」
大真面目に犬の真似をした石狩さんに三人でケラケラ笑い、私たちのテーブルは盛り上がる。ほどよくお酒が回ってくると、私はつい先輩たちに家族の愚痴を漏らした。
「うちの父、本当にいい加減にしてほしいです。航空整備士の仕事に挫折して、その上CAの母に離婚を突きつけられたからって、航空業界全体に敵意を抱いて娘の仕事を邪魔するなんて馬鹿げてます」
「そういや、涼野のお母さんはCAだったな」
「はい。今でも国際線でバリバリ働いてます」
最上さんの言葉に、少々自慢げに頷いた。
私の家族は昔から飛行機好きの一家だった。
というのも、父が私と同じ整備士、そして母はCAだったため、自然と飛行機の存在は身近だったのだ。