俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
そうだよね……。変だよやっぱり。私みたいなのが深澄さんと手を繋いでいるなんて。
その場に立ち止まり、自由になった手のひらを見ながら、そんなことを思う。
さっきまで心地よい音を奏でていた心臓が、今はズキズキと痛かった。
「光里?」
数歩先にいた彼が戻ってきて再びこちらに手を伸ばすが、私は逃れるように身を引いた。
「パパ活……に、見える、らしいので」
彼から目を逸らし、ぼそぼそ告げる。
深澄さんは軽くため息をついた後、さらに一歩私に近づく。そしてまっすぐ私を見つめながら、迷わず手を取った。
「実際はそうじゃないんだからいいだろ。好きに言わせとけ」
「でも、深澄さんにご迷惑が……」
「は? お前、俺が他人にどう思われるかびくびくしながら生きてるように見えるのか?」
もちろん、そんなことは思わない。
でも、私とセットでいることで深澄さんの評価が下がるようなことがあったら、足を引っ張っているようでなんだか嫌なのだ。
微妙な胸中は隠したまま、唇を噛んで俯く。
深澄さんは少し声のトーンを下げ、優しく諭すように言った。
「お前さ、自分がもう深澄光里だってこと、わかってる?」
「え……?」