俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 写真のためだけにホテルに?

 それに、ファッションアイテムのシェア自体はなにも悪くないけど、自分のもののように見せかけるのはさすがにやりすぎだ。

「そこまでして自分をよく見せようっていう根性だけはすげーな。しかし信濃、お前やけに高城のこと詳しいな」

 石狩さんが怪訝そうに片眉を上げて信濃さんを見つめる。そう言われてみたらそうだ。信濃さんの話には、ご近所さんというだけでは知り得ない情報まであった。

「石狩のくせに妙な探りを入れるとは生意気ですよ。さて、そろそろ時間ですから戻らないと」

 煙に巻くように言って、信濃さんが立ち上がる。

 はぐらかされたようで気になるが、確かにもう現場に戻らなければいけない時間が迫っていた。

「お、もうこんな時間か。涼野、あとは噛まずに飲め」
「石狩さんじゃないんですから無理です。ちゃんと噛んでから行きますから先に行っててください」
「お前ら……なにかにつけて枕詞(まくらことば)で俺を馬鹿にすんのやめろよな。じゃあ涼野、遅れんなよ」
「はーい!」

 残っていた冷やし中華をかき込み、急いで食器を返却口へ片付ける。

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