俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
高城さんからどんなに馬鹿にされようと、私はこれからも真剣に飛行機を整備する。
CAさんたちと見た目を比べて落ち込むなんて、やっぱり私らしくない。
そもそも鷹矢さんだって、私の仕事ぶりを認めて声を掛けてくれたのだ。そこに胸を張れなきゃ、私の魅力なんてひとつもなくなっちゃうんだから頑張らなくちゃ。
午後六時前にマンションに帰宅すると、珍しく鷹矢さんがリビングにいた。長い脚を組んでソファに座り、コーヒーのマグカップを片手に、勉強用のテキストを広げている。
真剣な横顔がカッコよくて、見ているだけで心臓が早鐘を打つ。
私、いつからこんなに鷹矢さんのことを意識するようになったの……?
緊張しながらそろそろとソファの方へ近づき、背後から声を掛けた。
「ただいまです。……久しぶりですね、なんか」
「ああ、おかえり。今日は早番か」
振り向いた彼が、テキストをパタンと閉じて軽く微笑む。
久しぶりに会うせいか、『おかえり』と言われただけでくすぐったい気持ちになる。
「はい。鷹矢さんは? 昨日は遅くまで国内線の乗務でしたよね」