俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「ここまで鈍くてわからず屋の女、人生で初めて出会った」
突然冷たい言葉を投げつけられ、ズキッと胸が痛む。
男女関係に疎すぎる私に、いい加減嫌気がさしたみたいだ。
でもしょうがないじゃない。鷹矢さんと私とじゃ、経験値の差がありすぎる。
彼だってそれをわかっていて、私との結婚を決めたはずなのに……。
「じゃあ、もう私にかまわなければいいじゃないですか。勝手にイラつかれて、こっちだって困ります……」
キッと彼の目を睨みつけ、主張する。鷹矢さんはふっと自嘲めいた笑みをこぼすと、静かに私を見据えた。
「それができるなら苦労してないんだよ」
「なんでですか。簡単でしょう? 今までの生活に戻るだけなんですから」
「ふうん……そう。光里にとっては簡単なことか。今までの生活に戻るのは」
揚げ足を取るように言われ、胸がちり、と焦げたような痛みを覚えた。
どうして私たち、喧嘩のような言い合いを……。
帰ってきたときは、久しぶりに鷹矢さんに会えて嬉しかった。そしてこれからの一週間はすれ違い生活になってしまうから、少しでも楽しい時間が過ごしたかったのに――。