俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
すべての項目について点検・整備を終えた後、最上さんが航空日誌にサインしていると、コックピットから鷹矢さんが降りてきた。
爽やかな白の半袖シャツ、肩には金の三本ライン。ズボンのポケットに片手を突っ込んでこちらに歩いてくる長身が目に入ると、思わずドキッと胸が鳴った。
「じゃ、俺は機長に報告してくる」
最上さんがそう言って私のもとを離れると、入れ替わりのように鷹矢さんが歩み寄ってきた。
ドキッとするが、仕事中なので平静を装う。
「外部点検ですか?」
「いや、それはもう終わってる」
「じゃあどうして外に――」
聞き返すより先に、彼にぐっと腕を引かれてエンジンの陰に連れて行かれた。
強引な行動に面喰らって思わず彼を見上げたら、ほんの一瞬だけ唇が重なる。
パイロットの制服を纏った彼にこんなふうに迫られるとは夢にも思わず、頭がパニックに陥った。
「なっ! こんな所でなにして……っ!」
「これからしばらくすれ違いの生活だろ。フライト前に少しでもお前を補給しないとやってられないと思って。じゃあな、行ってくる」