俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
こちらに気づいている様子がないので驚かせてみようかなと目論み、気配を殺してふたりのもとへ足を進める。
「うーん、極めて怪しいが、なんとも言えねぇな」
「彼女のことですからね……それっぽく写す術を持っているのかもしれませんし」
ブツブツと呟きながらひとつのスマホを覗き込んでいる彼らは、後ろから近づく私にまったく気づいていない。
しめしめと思いつつ「わっ!」と声を掛けたら、石狩さんが「ぎゃっ!」と派手な声を出した。その声に驚いた信濃さんも、目を丸くして肩を跳ねさせる。
そんなに驚かせるつもりはなかったので、少々申し訳ない気持ちになった。
「す、すみません、急に声を掛けて」
「心臓にわりーぞ涼野。今高城の疑惑写真を検証中なんだから邪魔するな」
……高城さん?
気になる人の名前が飛び出し、胸がざわっと波立つ。
「石狩、きみはどうしていつも言っていいことと悪いことの区別がつかないんですか……」
信濃さんが石狩さんを窘めたその時、彼の手の中にあるスマホの画面が偶然目に入る。
表示されていたのが肌色の多い写真だったので、反射的にドキッとする。