俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
こんなメッセージで否定されたところで信じられないし、ごまかすような返事が来てもショックだ。
鷹矢さんのことだから悪びれずに『そうだけど』と認める可能性もある。
【ごめんなさい、寝てました。帰りもお気をつけて】
結局、当たり障りのない返事をする以外、自分の心を守る方法がわからなかった。
……なんて意気地なしなんだろう。
すぐにスマホを裏返してキッチンに置き、冷蔵庫に向き直る。
「あ、チャーシューとネギがある。冷凍ご飯もあるしチャーハンにしよ」
関係のない独り言で自分を鼓舞し、不安な気持ちに蓋をする。
無心でご飯を解凍して、材料を切って、卵を溶いて、フライパンを振って……見た目も鮮やかに仕上がったチャーハンをダイニングに運んで、簡単な夕食にした。
レンゲですくったひと口をぱく、と口に含み、もぐもぐと咀嚼する。そうしてごくん、と飲み込むと、不意に視界が滲んでゆらゆらと揺れた。
……美味しく、ない。美味しくないよ、鷹矢さんがいないと。
ぽろっと頬を涙が伝い、私は思わずレンゲを置いた