俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 食卓を一緒に囲む機会がそれほど多いわけではなかったけれど、鷹矢さんとお喋りしながら食べるご飯はなんでも美味しかった。

『今日はなんの話がいい?』

 いつも嫌な顔ひとつせず、私がリクエストした話をたくさん聞かせてくれる鷹矢さん。彼も私と同じくらいか、それ以上に飛行機が好きなんだってわかるその瞬間が、楽しくて心地よかった。

 同じ業界とはいえ仕事内容はまったく違うのに真剣に悩みを聞いてくれたし、迷っている私に道を示してくれるような頼もしさもあって、話せば話すほど素敵な人だと思うようになった。

 鷹矢さんは、私のことどう思っていたんだろう。

 整備士としては認めてくれていたようだけれど、女性としては?

 思わせぶりなキスだけして、肝心なことは言葉にしてくれないんだからずるい。

 高城さんとは、あっさり一線を越えたくせに……。

 考えていたら腹が立ってきて、勢いに任せてチャーハンにレンゲを突っ込み、口に運ぶ。

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