俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「う、うぅ……っ、っく」

 全然食欲はないし味もよくわからない。

 その上嗚咽が混じって噎せてしまいそうになるけれど、私はやけくそのように次々チャーハンを頬張り、孤独な夜をやり過ごすのだった。


 翌日。私は鷹矢さんとマンションで顔を会わせたくなくて、朝から職場に行ってしまうことにした。

 いつものボーイッシュファッションにリュックを背負い、スニーカーを履いて玄関を出る。

 エントランスと同じ階に郵便受けがあるので、出がけに中を開けたら私あての封書が一通届いていた。差出人に目を凝らし、小さく呟く。

「国土交通省、航空局……あっ、もしかして」

 はやる気持ちを押さえ、できるだけ綺麗に封筒ののり付け部分を剥がす。

 中から三つ折りになった書類を取り出しパッと開くと、一番上には【学科試験結果通知書】の文字。

 そして受験番号や氏名が並んだ下に、受験した四つの科目名と、そのすべてに【合】の文字が記された表が。

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