俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
最上さんは私をベンチに「座れ」と促した後、無言で自動販売機にお金を入れる。そして缶のコーヒーと炭酸飲料を一本ずつ買い、炭酸の方を私に差し出した。
「ありがとうござい――」
お礼を言って手を出した瞬間、最上さんは私の手ではなく目元にいきなり冷たい缶を近づけてきたので、思わずギュッと目を閉じる。
次の瞬間、まぶたの上からヒヤッとした缶の感触があたった。
「冷たっ……! な、なにするんですかいきなり!」
「そんなに目ぇ腫らしてたんじゃ、小さい部品を失くしたり落としたりした時見つかりゃしないぞ。大人しく冷やしとけ」
ボソッと呟いた後、最上さんが私の手に缶を渡す。それからギシッと音を立て、私の隣に腰を下ろした。
「えっ……。あの、そんなに腫れてますか?」
受け取った缶をベンチに置き、おそるおそる尋ねてみる。最上さんは缶コーヒーを少し傾けて飲むと、前を向いたままで答える。
「ああ。かわいい姫さんが台無しだ」
やっぱり腫れてるんだ、目……。
それほど鏡を覗く習慣がないから、大したことないだろうと勝手に決めつけていた。
……それにしても。