俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
かろうじてそれだけ返事をすると、最上さんは少々気恥ずかしそうに休憩スペースを後にした。
残された私は、未だに彼の告白に衝撃を受けたままでなかなか動く気になれない。
最上さんとは年が離れてるとはいえ、人として好きだし、尊敬も信頼もしている。
鷹矢さんみたいに意地悪な面もないし、もし最上さんの告白を受け入れて付き合ったら、ちゃんと大切にしてもらえる未来が想像できる。
でも……だからって都合よく最上さんに寄りかかるのはなにかが違う。
このまま鷹矢さんを想い続けてもつらいのはわかっているけど……すぐに割り切って前に進むことなんてできないよ。
ため息をついて、頭上を仰ぐ。私の心とは裏腹に真っ青に晴れ渡った空から、一台の飛行機が高度を落として近づいてくるのが見えた。
「鷹矢さんも、そろそろ帰ってくる頃かな……」
口に出して呟くと、会いたい気持ちが無性に募った。
ほとんど失恋が確定している状況にもかかわらず、気持ちに抑えが利かない。
私はやっぱり鷹矢さんでなくてはダメなのだと、痛いくらいに心が訴えていた。