俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
もどかしい日々
鷹矢さんと気持ちが通じ合った翌日。
元々仕事が休みだった私は、着替えなど入院に必要な生活用品を持って彼の病室を訪れた。
すると、鷹矢さんのご両親がちょうどお見舞いに訪れており、図らずも初めての顔合わせとなった。
お父様は鷹矢さんと同じくらい長身の、穏やかな顔をした紳士。お母様は鷹矢さんそっくりの切れ長の目が印象的な美人だったので、見つめられるとちょっと緊張してしまった。
ご両親はともに航空専門学校で若手を育成する指導者だからなのか、新米整備士の私にとても好意的で、気さくに話をしてくれた。
途中で検査に呼ばれた鷹矢さんが、席を外す前に「そういや光里、一等航空整備士の学科試験に一発で合格したんだ」と話すと、ご両親はそろって目を丸くした。
鷹矢さんはその反応に満足そうな笑みを残し、看護師と一緒に病室をあとにする。
彼が出て行ってすぐ、お父様が感嘆の息を漏らした。
「その若さで一等航空整備士の学科試験を一度でパスしたとは、相当勉強されたでしょう」
「すごいわ光里さん。どんなに優秀でも、一度目の受験ではなにかしらの科目を落とすものなのに」
お世辞も交じっているとは思うけれど、そんなにまっすぐ褒められると、なんだか照れくさい。