俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「ありがとうございます。でも、航空日誌にサインできる責任者の資格はまだですし、新しい機体もどんどん出てくるので、もっともっと勉強を続けないとと思っています」
「光里さんは、整備士の鑑だな。鷹矢がきみを選んだ理由がわかる」
優しく目を細め、うんうんと頷くお父様。お母様も同調するように両手を合わせて微笑んだ。
「そうね。今は病気で落ち込んでいるかもしれないけど、頑張り屋の光里さんがそばにいてくれれば、きっとすぐに立ち直るわ。負けず嫌いだもの、あの子」
「そうだな。職種は違えど、どんどん整備士として成長していく光里さんに刺激を受けて、〝なにくそ! 俺だってやってやる!〟と思えれば、アイツもまたひと回り大きくなるだろう」
お父様が、拳を握って力説する。こうして温かく見守ってくれるご両親がいたから、鷹矢さんもパイロットの夢に一直線でいられたんだろうな。
素敵なご両親と家族になれたことが、私もとてもうれしい。
「ところで、ふたりは結婚式を挙げる予定はないのかしら? 仕事が忙しいとは思うけれど、光里さんのご両親もあなたの花嫁姿を楽しみにしていると思うわ」
「そうだな。もちろん無理強いするつもりはないが、光里さんのように素敵な女性が鷹矢の妻になったこと、親としては親戚中に自慢したい気持ちもある。ぜひふたりで話し合ってみてほしい」