俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
でも、実はずっと気になっていたのだ。好きだとは言われたけれど、きっかけも、いつどのタイミングでそうなったのかも、私にはまったく心当たりがないから……。
「半年ちょっと前」
鷹矢さんは一度箸を置き、ゆっくり語りだす。
顔を上げると、ちょっぴり照れくさそうな顔をした彼が、こちらを優しく見つめていた。
「フライト前の外部点検の最中、機体にキスするお前を見かけて……その一瞬で、好きになった」
「えっ?」
機体にキス……。確かに、整備の済んだ機体に「行ってらっしゃい」と告げる代わりに思わずキスすることはたまにある、けど。
「それだけで……ですか?」
「悪いか? あの時は俺だって自分自身にびっくりしたよ。たった一瞬そのシーンを目撃しただけで、お前のキスした機体に嫉妬すら覚えて、いつかあの唇を奪いたいって……とてつもなく激しい衝動が湧いたんだからな」
記憶と共に当時の感情まで思い出したかのように、鷹矢さんが熱い口調で語る。
まさか、そんなことがきっかけだったなんて考えもしなかった。
自分の知らないところで鷹矢さんに見つめられていたと知り、胸が高鳴る。