俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
鷹矢さんの私服はわりとカジュアルなものが多いけれど、今日はグレーのジャケットに白いカットソー、黒のパンツを合わせた大人っぽいモノトーンコーデで、制服姿に負けず劣らずカッコいい。
「わ、すごい、綺麗……!」
「ああ。このチャペルだけ海に浮かんでいるみたいだな」
サロンで簡単な打ち合わせをした後でに案内されたのは、ホテル自慢のチャペル。
奥の壁が全面ガラス張りになっており、東京のベイエリア、日の光を浴びて輝く東京湾、そして晴れ渡った空が見える。
チャペルの床やチェアは白で統一されているので、白と青のコントラストが美しかった。
「あっ見て、鷹矢さん! 羽田の方向から飛行機が!」
「子どもかよ。……ああ、本当だ。見ろ、スカイイーストのロゴがある」
呆れたそぶりの鷹矢さんも、窓辺ではしゃぐ私の隣で空を横切る白い機体に目を凝らしている。
飛行機好きの私たちにとって、ここは最高のロケーションではないだろうか。
「もう決めちゃいますか? ここに」
私はすっかりこのチャペルが気に入った。他の式場を見ても絶対に揺らがない。
期待を込めて鷹矢さんを見上げると、彼は勢いに押されたように小さく頷く。