俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「お前の気持ちは分かった。とりあえず、料理を食べてみてから決めよう」
「そうでした。楽しみですね、ランチ」
チャペルの入り口で微笑ましそうに私たちを見ていた女性プランナーが、披露宴の料理を担当するダイニングレストランに案内してくれる。
その間に今後の流れを相談すると、今日のところは資料を持ち帰って家でじっくり検討し、改めて連絡を入れることになった。
チャペルと同じ海側に位置するレストランはやはり景色がよく、窓辺の席で料理を待つ間彼とたわいのない話をしながら、ふと思ったことを口にする。
「今日はなんだかデートみたいですね。こういうのあまりなかったから新鮮です」
いきなり結婚して一緒に暮らし始めたし、お互いの休日はバラバラ。
たまに外食するくらいはあったけれど、こうしたお出かけは初めてだった。
「そういえばそうだな。パイロットの仕事に復帰したいのは山々だけど、お前とのんびり過ごせると思えば、人生のちょっとの間、立ち止まってみるのも悪くない」
鷹矢さんはそう言って穏やかに微笑む。彼にとっては不本意な休職期間だったと思うけれど、私のお陰で少しは気が晴れたならうれしい。