俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「お互い仕事の時は、まったく時間が合いませんもんね……」
「ああ。だから、国内線の乗務でお前がライン整備担当だったりすると、顔が見られて少し嬉しかった」
「……少し、だけですか?」
無意識にそう尋ねると、鷹矢さんが小首を傾げて「ん?」という顔をする。
あれ? 私今、ちょっと拗ねてるみたいな感じだった……!?
「な、なんでもないです! 忘れてください!」
らしくないことを聞いてしまい、かぁっと頬に熱がのぼる。
ちらっと鷹矢さんの表情を窺うと、彼はテーブルに頬杖をつきにやりと口角を上げた。
「へぇ。ちょっとは素直になったじゃん。かわいいから訂正してやる。お前が整備担当だと、この上なくうれしいよ」
「うう、気を遣っていただいてすみません……」
完全に言わせた感じになってしまい、小さくなるしかない。
鷹矢さんはクスクス笑って、さらに続ける。
「あながち嘘じゃないぞ。もっと白状すると、お前が担当の日はちょっとでも長く顔を見ていたいから、外部点検にわざと時間をかけたりしてた。もちろん、仕事に支障の出ない範囲でだけどな」
「そんなこと言われたら、復帰後担当になった時やりづらいです」