俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「ははっ。照れてやりづらそうにしてる光里、かわいいんだろうな」
「からかわないでくださいよ……」
こんなふうに浮かれた会話をしてしまうのも、恋のなせる業なんだろうか。
バカップルっぽいなぁと自覚する反面、鷹矢さんを独占できる時間はやっぱり幸せだ。
間もなくランチコースの料理も運ばれてきて、私たちは窓から見える景色と美味しい料理を心ゆくまで楽しんだ。
「美味しかった~、お腹いっぱいです」
「ああ、料理も悪くなかった。あとはゲストの人数と会場の広さの折り合いが付けば、ここに決めていいかもな。あ……光里、少し待ってろ」
「えっ? はい……」
レストランを出てロビーを歩いている途中、鷹矢さんが私をその場に残してフロントの方へ歩いて行った。
なにか確認したいことがあるのかな。
不思議に思いつつもそばにあったひとり掛けソファに腰を下ろし、彼を待つ。
手持ち無沙汰でスマホを眺めていたら、頭上から聞き慣れた男性の声がした。
「あれ? 姫じゃないですか。こんなところでどうしたんですか?」
「え……」
声のした方を振り向くと、そこにいたのは先輩整備士の信濃さんだった。