俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
やっぱり、強烈な人だったなぁ高城さん。信濃さんの苦労が目に浮かぶ。
ぽかんと彼女たちを見送っていると、隣で鷹矢さんがボソッと言った。
「性格悪いって、アイツにだけは言われたくないよな」
そのげんなりした口調に、思わず吹き出してしまう。
「あはは、そうですね……。でも鷹矢さん、わざとひどいこと言いましたよね?」
「わざと?」
「ああ言えば、高城さんは嫌でもやる気を出す……そんな意図を感じたのですが」
「……気のせいだろ。それより行くぞ、光里」
彼は軽くはぐらかし、私の手を取る。そっけない態度は図星だということの裏返しのような気がした。
鷹矢さんはこう見えて面倒見のいい人だもの。見栄や虚勢で大切なものが見えなくなっていた高城さんの目を、覚まさせてあげたかったんじゃないかな。
彼のそういう面は、きっとご両親譲りだ。
……それにしても、あれ?
鷹矢さんはどうしてエントランスと反対方向に歩いていくのだろう。
「鷹矢さん? 食事も済みましたし、マンションに帰るんじゃないんですか?」
「俺は明日の午後から仕事に行くけど、お前は明日も休みだろ? 今日はここに泊まることにした」