俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「ああ、そういうことでしたか……って、えっ!?」

 もしかして、さっきフロントに行ったのはそのため?

 絶句していると、鷹矢さんは私の心を読んだかのように目の前にキーをかざした。

「喜べ。スイートルームだ」
「嘘、スイートって、すっごく高いんじゃ……?」
「お前の貴重な初体験を奪うんだ。どうせなら、極上の時間にしたいだろ?」

 妖しく目を細め、内緒話のようにささやいた鷹矢さん。途端に胸がドキドキ鳴り、全身に熱い血液が巡る。

 確かに〝治ったら〟という約束ではあったけれど、そういう展開になるのは夜になってからだと思っていたのに……。

 心の準備が追い付かず動揺しっぱなしの私に構わず、鷹矢さんはエレベーターに乗り込む。

 彼が最上階のひとつ下、四十七階のボタンを押すと、扉がゆっくり閉まる。

 うう、もう逃げられない……。

 緊張や羞恥で顔を上げられずつい床ばかり眺めていると、頭上で鷹矢さんがふっと息を漏らした。

 それから私と目線を合わせるように大きな身を屈め、繋いでいない方の手で私の髪をそっと耳にかける。たったそれだけの仕草で、胸の高鳴りが一層大きくなる。

「光里」

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