俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
もう一度空へ

 鷹矢さんは二カ月間の地上勤務とその後の再訓練・技量審査を経て、十二月にパイロットとして復帰できることになった。

 復帰後初めてのフライトは、国内線。羽田から那覇の往復便を、服部キャプテンとともに担当する。

 その日は私も早番勤務で国内線の担当。鷹矢さんの便を整備できるとは限らないけれど、彼の大切な日に同じ場所で仕事ができることだけでも幸運だ。

「緊張してますか?」

 当日、朝ごはんを一緒に囲んだ食卓で聞いてみた。テーブルに並ぶのは、ベーコンエッグのホットサンドと野菜スープ、ホットココア。

 復帰初日に万全の体制で臨むため、温かくて栄養のある料理を、ふたりで手分けして作った。

「まさか。那覇までなんて、今までにも数えきれないほど飛んでる」

 再訓練を経てすっかり自信を取り戻した彼は、いつもの不遜な調子でそう言った。

「だとしても、油断は禁物ですよ?」
「わかってるよ。復帰はあくまで機長になるための第一歩。これからまた実績を積み上げていかなきゃならないから、一つひとつのフライトを大事にしないとな」

 鷹矢さんは神妙に言って、マグカップのココアに口をつける。

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