俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「あちっ」
「大丈夫ですか? 冷やしますか? 氷……!」
「馬鹿、平気だよ、これくらい」

 慌てて席を立って冷蔵庫に向かおうとした私の手を、鷹矢さんが掴む。

「本当に……?」

 ジッと睨むように、彼の唇に注目する。とくに赤くなっている様子はない。

 鷹矢さんが心膜炎を患って以来、どうしても彼の体調や怪我が気になって仕方がなく、つい過保護になってしまうのだ。

 鷹矢さんはそんな私に呆れたような笑みを漏らした後、くいっと私の手首を引っ張って甘えた声を出す。

「じゃあ、やっぱ痛い。キスしてくれ」
「じゃあってなんですか! 仮病を使う人にはしません……!」
「ダメだ。お前のキスがないと操縦に支障が出る」
「もうっ」

 やけくそになって、チュッと唇を合わせた。

 ココア味の甘いキスに、朝からドキンと胸が鳴る。

「サンキュ。こんなんじゃ本当は足りないが、仕方ない。夜まで我慢するよ」
「昨日もしたのに……?」
「もちろん」

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