俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
トーイングカーに押されて誘導路へ移動し、やがて滑走路へ自走し始める機体を、先輩方と見送る。
離陸の準備が整い、激しいエンジン音と共に勢いよく機体が飛び上がると、私たちは安全な空の旅を祈りながら、大きく手を振った。
「……よかったな。王子様が復活して」
格納庫へ引き上げる途中、少し後ろを歩いていた最上さんが穏やかな口調で言った。
まだ飛行機は飛び立ったばかりだし、往路は服部キャプテンが担当すると聞いている。
完全に復活したと判断するには少し早い気がするけれど、再びコックピットに入ることを許されただけでも、鷹矢さんにとってはきっと大きな前進だ。
「はい。倒れた時はどうなるかと思いましたが、ようやくここまで来ました」
微笑んでそう答えると、最上さんはふっと笑って頷く。
「しかし……お前らもだし、信濃も結婚とは。石狩とふたりで婚活パーティーにでも行ってみるかね」
「いいと思います! 石狩さんはともかく最上さんは絶対モテますよ」
「そりゃいい。アイツ、引き立て役として隣に置いとこう」