俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 深澄さんには昨夜、整備士としての私のキャリアについても軽く伝えてあった。

 三年制の航空専門学校を卒業し、今の会社に入社。仕事をしながら着々と社内資格を取り、今年は念願だった国家資格、一等航空整備士の受験資格を得た。

 先日受けたのは学科試験で、それに合格すれば実地試験に進める。

 しかし、入社四年目ですべての科目に合格できる者はなかなかいないと、先輩たちから常々聞かされている。深澄さんもその辺りの事情を知っているのだろう。

「まだ合格通知は受け取ってませんけどね……」
「受かるよ、お前なら」

 深澄さんはテーブルに肘をつき、甘い目つきで私を見た。

 美しい瞳に射貫かれて、胸がトクンと鳴る。仕事上、多少接点があるとはいえ、私についてそこまで深く知るわけでもないのに、どうしてそんなに自信満々なのか。

「根拠は……?」
「俺が選んだ女だから」

 不遜な調子で言った彼に目を瞬かせ、私は曖昧に笑う。

「はぁ……根拠はなし、と」
「おい、今のときめくところだぞ」

 わざわざ突っ込まれると、ますます対応に困る。

 別にときめいてるわけじゃないと思うけれど、深澄さんが私を認める言葉を吐くたびに鼓動が速まって、ちょっぴり胸が苦しくなるから。

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