俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「ひとりになったところに、男が言い寄ってきたりしなかったのか?」
「そんなことあるわけないじゃないですか。私、昔からこんな格好ばかりだし」
昨日と同じ、だぼっとしたTシャツを手で引っ張って笑い飛ばす。
スカートなんて、中学と高校の制服以外では穿いたことないんじゃないだろうか。
「服装なんて関係ない。全身ツナギで頭にはヘルメット、足元は安全靴のすっぴん女にだって、惹かれるヤツはいるんだ」
ハンドルを握って前を見据えながら、深澄さんが独り言のように言う。
私の仕事中の格好によく似た例だけど……一般論、だよね?
「そ、そうですか」
これ以上なんと言うべきかわからず、相槌を打った後はすんと黙り込む。しかし深澄さんはチラッと横目で私を見ると、不満げにため息をついた。
「反応薄っ。お前本当にかわいくない」
「な、なんでいきなりそんなこと言われなきゃいけないんですか!」
「自分の胸に聞けよ。……あ、あそこか? 涼野模型店」
話しているうちに『涼野模型店』の前に到着した。深澄さんは店の前に堂々と車をつけ、私と一緒に車から降りる。