俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
それに対して父の風貌は、私と同じくらい長い髪に丸眼鏡、タイダイ染めのTシャツにブーツカットを合わせたヒッピースタイル。
以前は髪の短いごく普通のおじさんだったのに、母と離婚してから急にヒッピーファッションに目覚め、毎日同じような格好をするようになってしまったのだ。
それだけならまだしも、時々アコースティックギターを片手に歌いながら、私の部屋に勉強の邪魔をしにくる。
そんな状況でラブ&ピースを説かれても、逆に殺意が芽生えるだけだというのに……。
「はじめまして、お父さん。スカイイーストエアラインでパイロットをしております、深澄鷹矢と申します」
深澄さんがスッと私の隣に並んで父にお辞儀した。
「お父さん?」
「突然押しかけて申し訳ありませんが、光里さんとの結婚を認めていただきたく今日は参りました」
「けっ、けけ結婚!?」
説明を求めるように、父がパッと私を見る。
まぁそうなるよね……。少々気が進まないけれど、私はちらっと深澄さんを見上げて口を開く。
「紹介するのが遅くなってごめん。だけど私、深澄さんと本気で結婚したいの。お父さん、許してくれるよね?」