俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
私たちの職場は、国内最大手の航空会社『スカイイーストホールディングス』の子会社である、『スカイイーストエンジニアリング』の運航整備部。
担当は国内線のライン整備で、羽田に到着した飛行機を、次の出発までに点検、修復する仕事だ。
限られた時間の中で不具合を解消し、安全に飛行機を飛ばすのが基本。ただし、少しでも危険があると判断すれば、次便就航不可とすることもある。
そうなると搭乗客はもちろん、空港内で働くあらゆる人々に迷惑をかけることになるけれど、お客様だけでなく、パイロットやCAといったクルーすべての命を預かる仕事なので、妥協するわけにはいかない。
というわけで、毎日が緊張感との戦いだけれど、今日はたまの息抜き。
数日前に一等航空整備士の学科試験を受験してきた私のお疲れ様会も兼ねて、親しい先輩と上司三人が飲み会に誘ってくれた。
彼らは全員男性で酒豪ぞろい。
乾杯のひと口でグラスを空にした彼らは、すぐさまボトルの赤ワインを追加注文して、テーブルに並んだチーズやソーセージをつまんだ。