俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
深澄さんのことが好きなの、という嘘はさすがにつけず『結婚したい』という言葉でごまかす。
父は私と深澄さんの顔を交互に見て、ぶるぶる首を横に振る。
「ダメに決まってるだろう、パイロットなんて。忙しくて放置されるに決まってる」
父はやはり、航空業界に嫌悪感があるらしい。だからって、深澄さんやパイロットの仕事に就く人全体を悪く言われるのはムッとする。
「お言葉ですがお父さん。今は便利なビデオ通話などもありますので、海外ステイで離れていても顔を見て話ができます。光里さんに寂しい思いをさせるつもりはありません」
「そうは言っても、私は現にCAの妻との結婚に失敗しているんだ。どんなに好き合って結婚したって、お互いに忙しいと思いやりも薄れるんだ。だから結婚は許せない。お父さんと呼ぶのもやめてくれ」
けんもほろろな父の態度に、思わず深澄さんと顔を見合わせる。
やっぱりそんな簡単じゃなかったか……。
そう思って肩を落とした時だ。
「いいじゃないの、結婚させてあげれば」
背後から、聞き覚えのある朗らかな女性の声がした。
この声、もしかして――。