俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 塗ったばかりの口紅のせいか、お互いの唇が吸い付くように密着し、ぶわっと顔に熱が広がる。

 先日のキスといい、どうして深澄さんは私に迫ってくるの……!?

 契約結婚を持ち掛けてきたのはお飾りの妻が欲しいからで、それ以上でもそれ以下でもないはずでしょ?

「んっ、やめ……んぅっ」

 一度唇が離れた隙に逃れようとしたけれど、すぐにまた角度を変えて彼の唇が覆いかぶさる。

 思わず目を閉じると、キスの感触や深澄さんの吐息の熱さがよりはっきり伝わってきて羞恥に拍車がかかる。

 だからといって目を開けたら、今度は深澄さんの蕩けそうな視線に捕らえられてしまうので、どちらにしろドキドキしてしまう。

「なん、で……っ」

 浅い呼吸で胸を上下させ、涙目になりながら訴える。しかし深澄さんがその問いに答えてくれる様子はない。

 自分で言うのもなんだけど、私ってこういう役割を求められるようなタイプじゃない。

 深澄さんほどの人ならもっと慣れた女性を相手にすればいいのに、どうして私なんか……。

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