俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
私も例に漏れず、二十五歳にもなって恋愛経験ゼロ。航空整備士という仕事は一生勉強を続けなければならないので、このまま死ぬまで独り身かもしれない。
飛行機が恋人と思えば、別に寂しくもないけどね。
そんなことを思いながら四人でたわいない雑談を続けていると、店の入り口がにわかに騒がしくなった。
続々と店内に入ってくるのは、美しい女性ばかりが五~六人。その中央で愛想笑いを浮かべている長身男性には見覚えがあった。
ほっそりとしたフェイスラインの中に、少し冷たい印象の切れ長の目、美しく尖った鼻、品の良い薄めの唇が完璧なバランスで配置されている。
乗務の時はスッキリ上げているダークブラウンの前髪が軽く下ろしてあり、アンニュイな雰囲気がまた色っぽい。
色恋に興味のない私でさえ一瞬見とれてしまうほど容姿端麗の彼は『スカイイーストエアライン』の副操縦士、深澄鷹矢。
三十二歳の若さにして機長昇格も近いと噂される、雲の上の存在だ。