俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「うわ~、深澄さん、相変わらずおモテになってんな。あの女たち全員食うつもりか?」
「天才パイロットのテクニックなら、全員とお相手するのも朝飯前なのかもしれませんね」
「こらこら。姫の前であまり刺激的な話をするな」

 深澄さんを観察しながらあれこれ憶測する同期ふたりを、最上さんが窘める。

 恋愛初心者の私を気遣ってくれたらしいが、私の脳内にはすでに深澄さんがあの女性たち(なぜか裸)にあれこれご奉仕される図が浮かんでいた。

 めくるめく酒池肉林の世界……いかん、私には刺激が強すぎる。

「深澄さん、ワインはどれにします?」
「フードメニューはこちらですわ」

 フルフル首を振ってピンク色の妄想をかき消しているうちに、深澄さんたちご一行は、偶然にも私たちの隣の席にやってきた。

 女性たちは全員で深澄さんひとりを接待しているかのように、甲斐甲斐しく飲み物や食べ物の注文を尋ねている。私の妄想も、当たらずとも遠からずという感じだ。

 それにしても、深澄さんを取り囲む女性たちときたら美しい。

 仕事終わりのはずなのに少しも乱れていないまとめ髪、元々美人なのにさらにその顔を引き立たせるメイク。加えて華やかなオーラを纏う彼女たちは、CAかグランドスタッフ辺りだろうか。

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