俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
しかし、深澄さんは美しい彼女たちに鼻を伸ばすことなく、終始クールな顔をしている。
女性に言い寄られるのには慣れているんだろうな。
ぼんやり彼を眺めていたら、偶然深澄さんと視線が合う。私はすぐに目を逸らしたけれど、ついどぎまぎしてしまった。
彼を男性として意識したというよりは、深澄さんがあまりにもすごいパイロットだから、目が合うだけで緊張してしまったのだ。
先輩方に聞いたことがあるけれど、深澄さんは大学卒業後、合格率一パーセント以下と噂される自社養成パイロット採用試験に合格して訓練生となり、優秀な成績でパイロットになった超エリート。
操縦技術はもちろん、瞬時に状況を理解し冷静な判断がくだせる能力に長けているため、機長たちからの信頼も厚い。
さらに、私が整備士として個人的に深澄さんを好ましく思っている点は、着陸の際のソフトランディングが得意なこと。
安全な着陸であれば基本的には問題ないのだけれど、やはりスムーズに着陸してもらった方が、機体やランディングギアの損傷が少ない。