次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!

第18話 新たなる住人

 聖女の夫がいなくなったというのに、誰も騒いだり、慌てている様子はなかった。
 おそらく、父が姿を消してくれた方が、母にとっては都合が良かったのだろう。もしくは、母が、父が自発的にいなくなるように仕向けたのかもしれない。
 どちらにしろ、父が無事に逃げ果せているといいが……。


 父と入れ替わるようにして、ある一団が私たちが住む宮殿やってきた。
 その一団を笑顔で出迎えたのは、母とカタリナ。
 特に、一人の男性が馬車から降り立つと、母は私や父の前では決して見せたことのない表情になった――カタリナに向ける表情とは、また別種のもののようであった。
 だが、母のわかりやすいその表情から、その男性が、カタリナの父――聖女の二番目の夫になる人物だとすぐに理解した。


 離れの目の前には、大きな木がある。この木は、ちょうど花の時期が終わりかかっており、枝から落ちた花びらが、地面を覆いつくしていた。
 そのため、雪のように積もった花びらを掃除するのが、最近の私の日課であった。
 今日もいつものように、私は木の下を掃除していた。
 すると突然、大量の花びらが上から降ってきた。そして次の瞬間、私の頭上から人が落ちて来て、私の目の前の地面に叩きつけられた。
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