次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!
第20話 急用
暇を持て余しているのか、アベルは毎日のようにやってきた。
と言っても、私とは特に関りを持つことはなく、敷地内にある大木に登ったり、木陰で昼寝するくらいだ。
私もずっと建物の中にいるわけではないので、外で会ったときに、軽く目を合わせるくらいだ。
特にこのまま放っておいても問題はない、と私は判断した。
ある晩のこと、私がそろそろ寝ようかと思っていると、扉を叩く音が聞こえた。
(こんな時間に誰……? もしかして、お父様が戻っていらっしゃたのかしら?)
つい先日、別れを告げた父のことを思い浮かべながら扉の前に立つと、
「急用なんだ。扉を開けてくれないか?」
と外から声がした。
(アベル!)
私は、扉を開けようと、反射的に取っ手に手を伸ばしていた。
しかし、指先に取っ手が触れた瞬間、我に返った。
――一体、こんな時間にアベルが私に何の用だろうか?
私が扉を開けることを躊躇している様子が、アベルにも伝わったようだ。
「仲間が怪我をしたんだ。この間の塗り薬を分けてくれないか」
私の不安を取り除くかのように、アベルが訪問の理由を告げた。
その言葉を聞いて、私は不安を取り去った。
「どうぞ入って」
扉を開け、アベルを中に入れた。
「今日、作ったばかりの薬があるから、持ってくるわ。そこで待っていて」
と言っても、私とは特に関りを持つことはなく、敷地内にある大木に登ったり、木陰で昼寝するくらいだ。
私もずっと建物の中にいるわけではないので、外で会ったときに、軽く目を合わせるくらいだ。
特にこのまま放っておいても問題はない、と私は判断した。
ある晩のこと、私がそろそろ寝ようかと思っていると、扉を叩く音が聞こえた。
(こんな時間に誰……? もしかして、お父様が戻っていらっしゃたのかしら?)
つい先日、別れを告げた父のことを思い浮かべながら扉の前に立つと、
「急用なんだ。扉を開けてくれないか?」
と外から声がした。
(アベル!)
私は、扉を開けようと、反射的に取っ手に手を伸ばしていた。
しかし、指先に取っ手が触れた瞬間、我に返った。
――一体、こんな時間にアベルが私に何の用だろうか?
私が扉を開けることを躊躇している様子が、アベルにも伝わったようだ。
「仲間が怪我をしたんだ。この間の塗り薬を分けてくれないか」
私の不安を取り除くかのように、アベルが訪問の理由を告げた。
その言葉を聞いて、私は不安を取り去った。
「どうぞ入って」
扉を開け、アベルを中に入れた。
「今日、作ったばかりの薬があるから、持ってくるわ。そこで待っていて」