生まれ変わっても、君でいて。
生まれ変わりは世界中にいるし、人でない可能性も十分にある。
でも、彼女はそんな可能性を考える余裕もないくらい、必死だった。
いつもつまらなさそうにしていた白石がそんな顔をするなんて、意外だった。
『じつは余命宣告受けてるんだよね』
今、この教室に、彼女の命の期限が迫っていることを、俺以外の誰も知らない。
死期が迫っている人が実際どんなことに未練を抱き、どんな感情になるのか。
それをそばで体感したら、何か未練探しのきっかけになるんじゃないだろうかと、そう思ったから白石の願いを聞き入れた。
俺は、完全に彼女を利用しているだけだ。
【京都の修学旅行は、人生で八回目】
俺は片手でメッセージを打ち込んで返すと、そのまま教室を出た。
ずっと、忘れられないことに悩み苦しんで生きてきた。
偶然出会った同じ能力者から、前世の記憶を断ち切る方法があると知らされてからは、未練とは何かと向き合う日々を送ってきた。
他の能力者曰く、記憶を断ち切る流れはシンプルだ。
現世に未練を持つと、前世の記憶が失われ、次に生まれ変わるときには普通の人間になれるというのだ。
そして、超記憶能力は、強い未練を残された側に、極稀に受け継がれていく……ということらしい。
まあ、これはどこまで確証があるかは不明だけれど。
何度も何度も生まれ変わっていると、当然現世に未練なんて持てるはずもなく、記憶を断ち切れずに生まれ変わり続けてきた。
そしていよいよ絶望の淵に立たされたような気持ちになった昨日……、突然白石粋に余命宣告されていることを告白された。
赤の他人の、全く関係のない俺なんかに、どうしてそんな重要な告白をするのか。
全く理解できなかったけれど、それは俺の長い長い人生の中で、なかなか衝撃的な出来事だった。
咄嗟に能力のことを暴露してしまったのは、直感的に、彼女と一緒にいたら何か新しいものが見えそうな気がしたから。
『前世の記憶が見えるのなら、生まれ変わりを探して欲しい人がいるんだけど』
あの時白石は、藁にも縋るような表情をしていた。
いったい、夢花、という少女は、いったいどんな終わりを迎えてしまった人間なのだろうか。
「夢花さん、せめて人間であってほしいな」
秋の澄んだ空を見上げながら、ぽつりとつぶやく。
でも、彼女はそんな可能性を考える余裕もないくらい、必死だった。
いつもつまらなさそうにしていた白石がそんな顔をするなんて、意外だった。
『じつは余命宣告受けてるんだよね』
今、この教室に、彼女の命の期限が迫っていることを、俺以外の誰も知らない。
死期が迫っている人が実際どんなことに未練を抱き、どんな感情になるのか。
それをそばで体感したら、何か未練探しのきっかけになるんじゃないだろうかと、そう思ったから白石の願いを聞き入れた。
俺は、完全に彼女を利用しているだけだ。
【京都の修学旅行は、人生で八回目】
俺は片手でメッセージを打ち込んで返すと、そのまま教室を出た。
ずっと、忘れられないことに悩み苦しんで生きてきた。
偶然出会った同じ能力者から、前世の記憶を断ち切る方法があると知らされてからは、未練とは何かと向き合う日々を送ってきた。
他の能力者曰く、記憶を断ち切る流れはシンプルだ。
現世に未練を持つと、前世の記憶が失われ、次に生まれ変わるときには普通の人間になれるというのだ。
そして、超記憶能力は、強い未練を残された側に、極稀に受け継がれていく……ということらしい。
まあ、これはどこまで確証があるかは不明だけれど。
何度も何度も生まれ変わっていると、当然現世に未練なんて持てるはずもなく、記憶を断ち切れずに生まれ変わり続けてきた。
そしていよいよ絶望の淵に立たされたような気持ちになった昨日……、突然白石粋に余命宣告されていることを告白された。
赤の他人の、全く関係のない俺なんかに、どうしてそんな重要な告白をするのか。
全く理解できなかったけれど、それは俺の長い長い人生の中で、なかなか衝撃的な出来事だった。
咄嗟に能力のことを暴露してしまったのは、直感的に、彼女と一緒にいたら何か新しいものが見えそうな気がしたから。
『前世の記憶が見えるのなら、生まれ変わりを探して欲しい人がいるんだけど』
あの時白石は、藁にも縋るような表情をしていた。
いったい、夢花、という少女は、いったいどんな終わりを迎えてしまった人間なのだろうか。
「夢花さん、せめて人間であってほしいな」
秋の澄んだ空を見上げながら、ぽつりとつぶやく。