生まれ変わっても、君でいて。
階段を上がった後とか、毎日の通学後とか、ただの日常を繋いでいるだけで疲れてしまうのだ。
私の体力は、まるでゆっくり落ちる砂時計のように、音もなく減っているのだろう。
テストが終わってすぐに、母親に連れられ定期検査へ向かうと、医者は予想通り芳しくない結果を見せてきた。
「肝機能検査値の結果ですが……、あまりよくありませんね。まずここの値ですが……」
担当医が厳しい表情で検査値の資料を眺めながら、検査結果の説明を始めていく。
飲み薬での治療を続けていたけれど、状態はあまり改善されていなかったらしい。
隣にいる母親は「はい、はい……」と真剣に頷いて、この前みたいに取り乱さないように必死に努めている。
「この項目ですが……、肝臓の細胞が破壊される程度を表しています。白石さんは、ここの数値が、変わらず高いままです。自覚症状がないのがこの病の特徴ですが……、改善はあまりされていません」
「そんな……」
「お辛いかと思いますが、いずれ入院することも視野に入れて、考えていきましょう」
医師と母親の会話を黙って聞きながら、私はスカートを握りしめていた。
秋に余命を宣告されたときよりも、なぜかショックが大きくて……、不安で埋め尽くされている。
あのときはまだ、どこか現実味がなかったのかもしれない。
でも、ここまで気持ちが沈んでいるのは、それだけが理由ではない。
八雲や秦野君、天音と過ごしているうちに……、人生における未練をなぞっているうちに、“生きたい”という思いがどんどん増えていた。
あまりに自覚症状が少ないので、心のどこかで、本当はどうにかなるのかもしれないと、思っていた。
でも……、現実は残酷だ。
「白石さん。免疫抑制薬を今回もお出ししますので、ひとまずは服薬を続けてください」
「はい……、分かりました」
「検査はまた翌月となりますが、何かあったらすぐに来てくださいね」
医師に念押しされ、私はこくんと頷く。
病室を静かに出ると、母親は暗い顔から無理やり笑顔に変えて、「今日は外で食べて帰っちゃおうか」と提案してきた。
その後、母親に連れていかれたのは最近できた流行りの喫茶店で、食事が届くと、相変わらず母親はスマホでたくさん写真を撮っていた。
その姿を見て、悲しんでいるのも全部全部、演技なんじゃないかと、思ってしまった。
私の体力は、まるでゆっくり落ちる砂時計のように、音もなく減っているのだろう。
テストが終わってすぐに、母親に連れられ定期検査へ向かうと、医者は予想通り芳しくない結果を見せてきた。
「肝機能検査値の結果ですが……、あまりよくありませんね。まずここの値ですが……」
担当医が厳しい表情で検査値の資料を眺めながら、検査結果の説明を始めていく。
飲み薬での治療を続けていたけれど、状態はあまり改善されていなかったらしい。
隣にいる母親は「はい、はい……」と真剣に頷いて、この前みたいに取り乱さないように必死に努めている。
「この項目ですが……、肝臓の細胞が破壊される程度を表しています。白石さんは、ここの数値が、変わらず高いままです。自覚症状がないのがこの病の特徴ですが……、改善はあまりされていません」
「そんな……」
「お辛いかと思いますが、いずれ入院することも視野に入れて、考えていきましょう」
医師と母親の会話を黙って聞きながら、私はスカートを握りしめていた。
秋に余命を宣告されたときよりも、なぜかショックが大きくて……、不安で埋め尽くされている。
あのときはまだ、どこか現実味がなかったのかもしれない。
でも、ここまで気持ちが沈んでいるのは、それだけが理由ではない。
八雲や秦野君、天音と過ごしているうちに……、人生における未練をなぞっているうちに、“生きたい”という思いがどんどん増えていた。
あまりに自覚症状が少ないので、心のどこかで、本当はどうにかなるのかもしれないと、思っていた。
でも……、現実は残酷だ。
「白石さん。免疫抑制薬を今回もお出ししますので、ひとまずは服薬を続けてください」
「はい……、分かりました」
「検査はまた翌月となりますが、何かあったらすぐに来てくださいね」
医師に念押しされ、私はこくんと頷く。
病室を静かに出ると、母親は暗い顔から無理やり笑顔に変えて、「今日は外で食べて帰っちゃおうか」と提案してきた。
その後、母親に連れていかれたのは最近できた流行りの喫茶店で、食事が届くと、相変わらず母親はスマホでたくさん写真を撮っていた。
その姿を見て、悲しんでいるのも全部全部、演技なんじゃないかと、思ってしまった。