生まれ変わっても、君でいて。
 そこ、笑うとこじゃないんだけど、と思ったけれど、顔に出すだけにしておいた。
「白石が爆弾ぶっこんでくれたからだよ」
「え?」
「俺がこの能力を初めて誰かに打ち明けたの。なかなか余命宣告の話を聞かされるなんてないからね。だから俺も、同じくらいの秘密をぶっこんでみようかなって思ったんだ」
「そう……なの」
 赤沢君の真っ黒な瞳は相変わらず読めないけれど、嘘を言っているようには思えない。直感的にそう思った。
 私はようやく、彼の話をちゃんと聞こうと思った。
「ちなみに俺、他人の前世も見えるよ」
「え……、本当に?」
 急に顔色が変わった私を見て、赤沢君は少し驚いている。
「うん、白石は、前世は男だったね。なんか結構ごつめの……」
「ごつめの……」
 いや、私の前世なんて今は心底どうでもいい。
 もし……、もし本当に、前世が見えるのなら……。
 心臓がバクバクと高鳴って、ある感情で頭の中が支配された。
 本当に人は生まれ変わっていて、彼の能力が確かなものなら、土下座してでもお願いしたいことがある。
「ねぇ、前世の記憶が見えるのなら、生まれ変わりを探して欲しい人がいるんだけど」
 赤沢君の目をまっすぐ見つめて切り出すと、彼は一瞬目を見開いた。
「やだよ。面倒くさい。それに、前世の記憶がない人を、前世の名前で呼ぶのはご法度だし」
 顔を顰めて速攻で断る赤沢君の腕を、私は思い切り掴んでさらに迫る。
「もし分かったらでいい! 話しかけないし、ただ見守るだけだから……!」
「えぇー……、そんなに?」
 必死な思いが届いたのだろうか、私の言葉に赤沢君は少し考えるような素振りを見せる。
「分かった。いいけど、その代わり白石は俺に何してくれんの?」
「何か願いがあるなら、何でもする」
 言ってから、まずいと思った。
 こんなに読めない人間に「何でもする」なんて軽々しく言うなんて、どう考えてもまずすぎる。
 いったいどんなお願いをされるのか、全く予想がつかない。
 ドキドキしながら赤沢君の言葉を待っていると、彼はゆっくり口を開いた。
「じゃあ、未練探すの手伝ってよ」
「……未練?」
 一瞬では理解出来ない提案に、思わず首を傾げる。
 赤沢君はガシガシと頭を搔きながら、言い難そうにお願いごとの内容を補足し始めた。
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