ひと夏のキセキ
フロントガラスの向こうで遥輝がギョッとした顔をするのが分かった。


遥輝もあんな顔するんだ。   


いつもスマートだからなんだか可愛らしい。


「じゃあ、後のことは遥輝くんに任せるから、楽しんできなね?」


「うん!!」


駆け出したい気持ちをグッと堪えて遥輝の元へ歩く。


「遥輝っ!行こ!」


最後には待ちきれず走って遥輝の元へ向かう。


「バカ、走んな」


「大丈夫だよこれくらい。それよりどこ行くの?」


遥輝とならどんなところでも絶対楽しい。


「分かりやすくテンション上がってんじゃん。可愛い」


「もうっ。遥輝だって、お母さんから連絡来て超ビックリしてたじゃん。可愛いね!」


「うるせぇ。黙ってついて来い」


照れちゃって可愛い。


そう思ったけど、口にすると怒られそうだからやめておこう。
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