ひと夏のキセキ
「お母さんからなんて言われたの?」


「秘密」


「え〜、なんでー?教えてよ」


「お前は知らなくていいことだから」


「冷たいなぁ」


「……別にそんなつもりで言ってない」


冗談で言った“冷たい”にピクリと反応した遥輝。


クールな顔が崩れて少し困り顔だ。


青涼の皆はきっと知らない、私だけが知ってる遥輝の表情。


「俺の態度、冷たく感じる?」


私の顔を覗き込む遥輝の表情は優しい。


「冗談だよ。全然冷たくないよ?」


不器用なりに私のことを大切にしてくれてるのかなって思うと胸がポカポカと温まる。


「けっこー悩んでんだよなー。俺は普通にしてるつもりでも、冷たいって言われることが多いから。絢のことだけは絶対傷つけたくないし」
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