ひと夏のキセキ
デート
遥輝に連れてこられたのは、この辺りで1番大きな商業施設。
まだ入院生活じゃなかった頃に一度家族で来たことがある。
「歩き疲れてない?大丈夫?」
「全然平気だよ!ありがとう」
道中、何度もこうやって確認してくれて、休み休みここまで連れてきてくれた。
そのおかげでちっとも疲れてないし、体調も悪くない。
「あ!遥輝あれ見て!タピオカ屋さんだ!最近流行ってるんでしょ?」
「何年前の話してんだ。もう流行ってねぇよ」
「えっ…」
堂島さんに教えてもらったばかりなんだけどなぁ。
やっぱり外の社会と遮断された生活してると、流行りには追いつけないもんなんだなぁ…。
「飲みてーの?」
「…飲みたいけど、たくさんは飲めないからいいや」
飲めてもせいぜい2〜3口。
それじゃ勿体ないから買えない。