ひと夏のキセキ
「ごめんね、制約多くて」


「いや、余ったら俺が飲むから気にすんなよ。買いに行こーぜ」


躊躇う私に構うことなく、手を引っ張ってタピオカ屋さんに連れて行ってくれる遥輝。


「何飲みたい?」


強引に見えて、優しく顔を覗き込んで聞いてくれるところが好き。


「遥輝は何がいい?」


「俺は何でもいい。絢が好きなの選べよ」


ほんと優しいなぁ。


ずっとこんな優しさに触れてたら、ますます好きになっちゃうよ…。


私の考えてることはお見通しなのに、この気持ちにだけは気づいてくれないのかな。


それとも、気づいてるのに気づかないふりされてるのかな。


なんで今日ここに誘ってくれたんだろう。


遥輝は私のことをなんでも言い当てるのに、私は遥輝のことが分からない。


遥輝は…わたしのこと、どう思ってるのかな…。
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