ひと夏のキセキ


遥輝に連れられてやってきたのは、プリ機がたくさん並んでいるフロア。


カップルや女子高生のグループがワイワイしていて賑やかな空気だ。


「プリクラ撮りたいって言ってたよな?」


「覚えててくれたんだ…」


死ぬまでにやりたいことリストに書いたこと。


•放課後制服のまま出掛けたい
•プリクラを撮りたい


“俺がお前の青春、作ってや”
“やりたいこと、全部叶えてやっから”


あのときの力強い言葉が蘇る。


ホントに叶えてくれるんだね。


半信半疑だった。


どうせ私にはそんな明るい人生は待ってないんじゃないかって。


病気から出られないんじゃないかって。


遥輝に出会ってから世界が変わった。


視野が広まって見えるものが増えた。


だから毎日が楽しいんだ。


「ありがとね、遥輝」
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