ひと夏のキセキ
「体調良くないのか?」
「まぁね…。慢性的に目眩が続いてる感じかな」
もうだいぶ慣れたけど、しんどいものはしんどい。
寝ている時以外は船酔いしている感覚に近い。
「他にはどんな症状があんの?なんか聞いといたら役に立てるかなって思って。聞いていい?」
「そうだなぁ…。目眩や頭痛が多くて、たまに呼吸も苦しくなる…かな。ストレスや刺激で症状が悪化するみたいなの」
親や学校の先生以外に病気の話をするのは初めてだ。
もちろん、聞いてくれる友だちも初めて。
こんな話でも真剣に聞いてくれる人がいることが本当に嬉しいんだ。
「…そっか。暑さとかも刺激になるってことか」
納得したように葵が呟いた。
かと思えば、何かを思いついたように
「あっ、じゃあさ、好きな飲み物教えてよ」
「え、急に?なんで?」
「いいからいいから」
明るい表情で目を輝かせ、私を見つめる葵。
「強いて言うなら桃味の天然水かな」
「おっけ!じゃあちょっと待ってて」
「えっ!?」
葵はベッドから飛び降り、タタタっと病室を走り去っていった。
「まぁね…。慢性的に目眩が続いてる感じかな」
もうだいぶ慣れたけど、しんどいものはしんどい。
寝ている時以外は船酔いしている感覚に近い。
「他にはどんな症状があんの?なんか聞いといたら役に立てるかなって思って。聞いていい?」
「そうだなぁ…。目眩や頭痛が多くて、たまに呼吸も苦しくなる…かな。ストレスや刺激で症状が悪化するみたいなの」
親や学校の先生以外に病気の話をするのは初めてだ。
もちろん、聞いてくれる友だちも初めて。
こんな話でも真剣に聞いてくれる人がいることが本当に嬉しいんだ。
「…そっか。暑さとかも刺激になるってことか」
納得したように葵が呟いた。
かと思えば、何かを思いついたように
「あっ、じゃあさ、好きな飲み物教えてよ」
「え、急に?なんで?」
「いいからいいから」
明るい表情で目を輝かせ、私を見つめる葵。
「強いて言うなら桃味の天然水かな」
「おっけ!じゃあちょっと待ってて」
「えっ!?」
葵はベッドから飛び降り、タタタっと病室を走り去っていった。