ひと夏のキセキ
「遥―」


「帰ろ。病院まで送ってく」


当たり前のように手をつないでくるのは、なんで?
 

ただ私が喜ぶと思ってるから?


遥輝の気持ちは?


私の一方通行の気持ちなら、キスされても褒められても手を繋がれても嬉しくないよ…。


「…ねぇ…遥輝ってば」


「聞くな」


ピシャリと言われた言葉が胸に刺さる。


「俺がどう思ってるとか、なんでキスしたのかとか、何も聞くな」


「…どうして…?」


そんなのもう答えは1つしかないか…。


遥輝は私のことが好きじゃないんだ。


「…だったらキスなんてしないでほしかった」


期待させるだけさせて、楽しかった…?


私をもて遊んで、満足…?


「1人で舞い上がっちゃってバカみたい…」
< 124 / 353 >

この作品をシェア

pagetop