ひと夏のキセキ
まるで台風のような人。


もしかして、買いに行ってくれるのかなぁ…。


気を遣わせちゃったかもしれない。


―カラカラっ


「えっ、もう?早―…」


葵が出ていってすぐなのに扉が開き驚いて見てみると、そこには金髪の男性が立っていた。


スラリとしたスタイル、端麗に整った顔。


金髪なのに海たちのような派手さはなく、落ち着いた大人の雰囲気を感じる。


だけど、その切れ長の目はなぜだか真ん丸に見開かれている。


「あの……葵なら今出てるので、しばらくしたら戻ってくるかと…」


男性は反応を示してくれなかった。


ただジッと私の顔を見つめて立ち尽くしている。


「えっと…私に用ですか…?」


葵の友だちかと思ったけど違うのかな…?


どうしていいのか分からなくて困惑していると、彼がおもむろに近づいてきた。
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