ひと夏のキセキ
ヤンキーみたいな見た目してるなんて口が裂けても言えないや。


「どんな人?」 


「…言わなきゃだめ?」


「絢の事を任せられる人じゃないとデート行かせてあげられないし」


やっぱりお父さんは過保護だ。


「大丈夫だよ。しっかりしてるし、すごく優しい人だから。この前デート行ったときは、ずっと体調を気にかけてくれてたし、こまめに休憩させてくれたもん。心配しないで」


「……デート…」


「もうっ、ショック受けないでよ。私もう高校生なんだからデートくらいするよっ」


娘がデートしたくらいでショックを受けるお父さんなんて、漫画の世界だけじゃないの?


「いや…まぁそうなんだろうけどさ。絢がデートかぁ。彼氏かぁ。そうかそうか…」


「ホントに心配しなくて大丈夫だからね。本当に優しい人だから」


すっかり黙り込んでしまったお父さん。


…彼氏ができただけでこの調子なら、私が先に逝ったらどうなっちゃうんだろう。
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