ひと夏のキセキ
…なぁんてね。


そんなこと考えちゃいけないよね。


初めてデートしたあの日の帰り道。


私は遥輝と約束した。


“今を全力で生きるね”


と。
  

遥輝は嬉しそうに笑ってくれた。


私が大好きな、クシャッとした柔らかい笑顔で。


未来は約束できないけど、“今”は約束できるから。


だから、過去も振り返らないし未来も考えない。


今だけを全力で生きる。楽しむ。


ネガティブになってちゃいけない。


―ガラガラッ


突然、病室の扉が開いた。


「あ…遥輝」


気まず…。


お父さんと遥輝が居合わせるのはとても気まずい。


今日は来るって言ってなかったのに、どうしたんだろう。


タイミングが悪すぎる…。
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