ひと夏のキセキ
「やっぱり俺が出直しますよ。親子の時間も大事なんで」


「じゃあ3人で話そう?」


せっかくの機会だし、お父さんと遥輝が仲良くなってくれたら嬉しい。


そう思って提案したつもりだったんだけど、遥輝からものすごく鋭い視線が飛んでくる。


「遥輝くんに気を遣わせると悪いから今日は失礼するよ。こんな娘だけど、これからも仲良くしてやってくれたら嬉しいよ」


お父さんは紳士的な笑顔でそう言い、病室を出ていってしまった。


足音が完全に聞こえなくなると、遥輝ははぁぁぁぁぁっと大きなため息をつく。


「お前さぁ。俺の気持ち考えろよ。何が3人で喋ろうだよ。気まずすぎんだろ」


「え…ごめん…。仲良くなったら嬉しいなと思っただけなの…。ごめん…」


「ったく。前も言ったろ。こういうのは第一印象が大事だって。どうすんだよ初対面がこんな格好って」


ブツブツ文句を言い続ける遥輝。
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