ひと夏のキセキ
私の気のせいなのかな…?


でも、いつもより距離が近いし、強引だし、意地悪だし…。


「嫌なことでもあった?」


遥輝の表情がみるみる不機嫌に変わっていく。


仏頂面で、でも伏し目がちな遥輝は、拗ねちゃった子どものようだ。


「他の男が絢のこと可愛いって噂してんの聞いてムカついた。また会いたいとか学校来てほしいとか言いやがるから腹が立ってる。お前は俺だけのもんなのに」


口をへの字に曲げて小さく言う。


ほんとに小さな子どもみたい。


葵が言ってた“遥輝は独占欲が強い”ってホントだったんだ。


「なに笑ってんだよ」


「だって遥輝が可愛いんだもん」


調子に乗って遥輝の頭を撫で撫ですると、思い切り舌打ちされてしまった。
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